総評
・VN100指数：1,303.59→1,260.23(-3.33%)
かなり大幅な下落😭
アメリカのトランプ大統領当選に伴う貿易関税強化により、世界的な経済成長にブレーキがあるとして株価への下押しに。
加えてアメリカでは減税推進によるインフレ懸念からドル金利が上昇し、ベトナムドン金利もドル金利を上回る水準で急騰。金利高は株価のバリュエーションを下げるため、さらなく悪材料に。
業種別パフォーマンス
・農産物セクター以外は下落。
・農産物はHAG（HOANG ANH GIA LAI）の純利益、前年同期比12%増益に伴う株価上昇が貢献
・VN100指数への影響度としては、指数の半分を占める金融の5%下落が響く。10月に大きく買われた銀行株の利益確定売りや、株式売買高の低迷に伴う証券株の減益懸念により低迷
・素材・卸売はアメリカの貿易関税強化により、世界経済の減速懸念を反映
・特に大きな下落となった鉱業資源は、トランプ政権下でアメリカが化石燃料への規制緩和と生産拡大を進めていくだろうとの見立てから下落
主要ニュース
株式マーケットは元気がありませんが、経済統計からはベトナム経済は概ね好調ということが伺えます。
①10月累計の消費財・サービス小売売上高、約2000億ドルで前年同期比8.5%増加
https://en.vietstock.vn/2024/11/ten-month-retail-sales-of-consumer-goods-services-up-85-974-591007.htm…
・2024年の10ヶ月間のベトナムの消費財およびサービスの小売総売上高は、前年同期比8.5%増の約2075億米ドルに達したと統計総局が報告
・物品の小売売上高は総売上の77.2%を占め＋7.8%
・食品の伸びが大きく+10.7%、衣料品+8.7%、家電製品+8%、自動車を除く車両+7.5%、文化・教育製品+6.6%
・宿泊・飲食サービスは+12.5%、観光・旅行サービスは+14.2%
・10月単月で海外からの観光客は142万人で+27.6%、10か月累計では1410万人を超えて+41.3%
・10ヶ月累計で観光収入が増加した地域は、カントー（+31.2%）、ホーチミン(+15.9%)、カインホア(+15.4%）、ビンディン(+11.9%）、ハノイ(+9.8%）、ダナン（+6.1%)
全体的に小売売上高が伸び、景気後退への懸念は和らぎました。
特に海外からの観光客増加に伴う観光・旅行・宿泊・飲食の伸びが顕著で、外貨獲得に大きく貢献しそう
カントー市は水上マーケットが有名な都市。近年高速道路の開通によってホーチミンから車で2時間程度でアクセス可能になり、日帰り観光で需要が大きく伸びているようです。
②ベトナムの消費者、景気後退への懸念が和らぎ旅行や体験に支出拡大。 「ASEAN消費者センチメント調査2024」
https://en.vietstock.vn/2024/11/vietnamese-consumers-boost-spending-on-travel-experiences-as-fears-of-recession-ease-uob-study-38-590990.htm…
・ユナイテッド・オーバーシーズ銀行UOBが発表した「ASEAN消費者センチメント調査2024」に基づく統計
・この調査はUOBがボストン・コンサルティング・グループと共同で実施し、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムの消費者心理とトレンドを分析したもの
・ベトナムは個人の財務状況について最も楽観的。90％が安定または改善を期待。インドネシア(89%)、タイ(82%)上回る
・世界的なインフレ緩和で輸入インフレ圧力も軽減され、2024年9月までの輸入物価指数は前年同期比で1.73％低下
・過去1年間で、ベトナムの消費者は必需品への支出を増やしており、特に子供の教育が42％、医療が33％、光熱費が33％増加しました。
・ベトナムの消費者は旅行や高級料理、コンサート、フェスティバルといった体験への支出を地域の他国より多く増やす傾向。これらのカテゴリーへの支出を増やしたと回答した人はベトナムで42％に上り、ASEAN平均の35％を上回った。
・1981～1996年生まれのジェネレーションYと呼ばれる年代の63％は、年間収入の10％以上を投資に充てており、これはASEAN平均を10％上回っている。
ASEAN地域のなかでも、ベトナムは経済について最も楽観的だという統計です。ASEANの経済成長率で比べるとベトナムが一番高いので、これからもっと経済は良くなっていくんだ、という明るい見通しから、財布の紐も緩んでいるのではと想像できます。
消費のメインが物品＝「モノ」から体験すること＝「コト」にシフトしているのは先進国と共通します。コトへの消費が増えたということは、生活必需品を買って、それでも生活資金に余裕が出てきたということなので、個人の財政状況も改善していることが伺えます。
③FPTが日本でAIファクトリーを立ち上げ
http://bizhub.vn/tech/fpt-launches-ai-factory-in-japan_363310.html
・日本で11月12〜13日にかけて開催されたNVIDIA AIサミットで、FPTが発表したもの
・AIファクトリーというのは、NVIDIAのフルスタック加速コンピューティングプラットフォームを活用したクラウドサービスで、AI開発に必要な膨大な計算能力を提供するもの
・提供するサービスは大きく３製品に分かれる
(1)”FPT AIインフラストラクチャ”は、GPUクラウドサービスを提供し、高い計算能力でモデルの開発と展開を加速させる
(2)”FPT AIスタジオ”は、NVIDIA NeMoを使用して、AIモデルの構築、事前トレーニング、ファインチューニングを深く行うためのツールを提供
(3)”FPT AIインファレンス”は、NVIDIA NIMおよびNVIDIA AI Blueprintsのサポートを受け、顧客がモデルをサイズや使用回数に応じて展開・スケールできるようにする
日本で開催されたNVIDIA AIサミットはソフトバンクの孫さんによるNVIDIAの協業発表が話題になりましたが、FPTも日本市場でAIサービス強化を推進するとのこと
FPTの時価総額は約1.2兆円で、ベトナムで3番目に大きな企業。とはいえ、日本の上場企業だと約150位なので、日本市場を取り込めた場合の増益幅はかなり大きく期待が持てます
ベトナムの物価の安さを活かした市場参入ではなく、AIというテクノロジーの最先端、高付加価値分野での参入はベトナムの国際的競争力の高まりを感じます。
このニュースを受けて、FPTだけでなくIT分野の株価は大きく上昇しました。
日次パフォーマンス
2024/11/11(月)ベトナム株式市場
・VN100指数 1,298.40(-0.40%)
・Nvidiaの越南訪問控えITは協業期待で上昇
・トランプ関税導入前の出荷急増見込みで海運・港湾が好調
・金融は国家銀行が不良債権増加を示唆し急落
・4QのGDP成長率7.4～7.6%(従来7.6～8.0%)に引き下げ
2024/11/12(火)ベトナム株式市場
・VN100指数 1,291.84(-0.51%)
・支援材料に乏しく弱いセンチメント
・10月貿易統計の速報値を発表
・輸出は今年累計356億ドル(前年比+10.2％)
・輸出は今年累計356億ドル(前年比+16.8％)
・米国関税強化前の駆け込み需要見込む
2024/11/13(水)ベトナム株式市場
・VN100指数 1,293.69(+0.14%)
・FPTが日本でNvidiaGPUクラウドサービス立ち上げ。IT通信セクターは好材料で上昇
・米国が化石燃料生産増やし中東和平推進、供給緩和予測でエネルギー下落
・翌日物金利は5.5%に急上昇し流動性逼迫
2024/11/14(木)ベトナム株式市場
・VN100指数 1,275.80(-1.38%)
・素材と金融は外国人投資家の売りが重しとなり大きく下落
・FOL銘柄が低いプレミアムで売却され続け、市場全体に弱さが見られる
・翌日物金利も5.8%上昇し、流動性逼迫が続く
（メモ：”FOL銘柄”について）
「FOL銘柄」とは”Foreign Ownership Limit”、外国人保有制限が法令で設けられている株式のこと。重要な産業への外国資本の影響を抑制する目的で設けられる
ベトナム株の外国人保有比率は原則50%未満とされているが、銀行株にはさらに低い30%未満の上限設定がされている
FOL銘柄はみんな買いたい銘柄。株主が売りたいときは市場株価より高値で売っても買いが入ります。（品薄の人気商品の転売価格が上がり続けるのと同じ）
でも最近はACBやMBBなどの銀行株を中心に、市場株価よりも高値では買い手が見つからない。ベトナム株への期待が薄れているシグナルかも
2024/11/15(金)ベトナム株式市場
・VN100指数 1,260.23(-1.22%)
・強力な売り圧力に押され、ほぼすべての銘柄が下落。特に証券と素材が急落
・FOL銘柄の売りが引き続き多い
・ドル指数が大幅上昇も、政府の外貨購入やVND金利がUSD金利を上回ったことでレートは安定
ツァクベトストック🇻🇳ベトナム株ポートフォリオ成績(2024/11/11~2024/11/15)
・VN100指数：1,303.59→1,260.23(-3.33%)
・ポートフォリオ：1,877,407円→1,870,154円(-0.39%)
🎉🎉🎉ついに通算でポートフォリオがVN100指数を逆転🎉🎉🎉
マーケット環境悪く、VN100指数が大きく下落するなかポートフォリオは横ばい。下落に強い銘柄選定ができているという面ではポジティブです。
でも含み損の小ささじゃなくて、含み益の大きさで勝負したい笑
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